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■一年目
諄ヰ音が殺されて、一年が経った。再生培養器につけて経過をみているが俺では完璧にこれを使いこなせない。頭の悪い自分自身が憎い。優しいお前の手の温かさを忘れてしまいそうでおかしくなるよ。
■2年目
諄ヰ音が殺されて二年が経った。髪が伸びてきたようだ。
死んだ体を生きていると細胞に錯覚させるまで長かったが、これでお前の成長を見ることができると思うと俺は嬉しいよ。諄ヰ音。
■3年目
もう、三年だ、最近は身長も伸びてきたようで、嬉しい。
早く、もう一度君の声が聞きたい。また、歌って欲しい。
話したいことがたくさんあるんだ。だから、頑張るから、どうか
目を開けて欲しい。
■11年目
やった、もう少しだ、もう少しでわたしの悲願が果たせる、諄ヰ音、諄ヰ音、、!諄ヰ音!!
頑張った私、がんばった、
■12年目
諄ヰ音、は変わってしまった。笑わなくなった、コスモとも呼んでくれない。歌ってくれない、撫でてくれない、抱きしめてくれない。
喜んでくれない。わたしのことも覚えていない。
12年、12年間諄ヰ音のために、頑張った。でも、もう戻ってこない。
手の温もりも、優しい歌声も、もう、消え掛かっているのに。
もう、どうでもいい。
■
私が蹲っていると、諄ヰ音は私の頭を撫でてくれた。
もう、諄ヰ音はいないのに、どうしてと聞けば、貴方が悲しんでいると思ったからです。だって。ああ、変わってしまっても、きみは、あの時のままの、諄ヰ音なんだって。そう思ってしまったら、簡単に私は救われてしまう。
その手を離そうとしたわたしが憎い。今度こそ、人間に踏み躙られないように。わたしが守らなくちゃいけない。
「諄ヰ音!!!今日からきみは、私のお世話係!!!!!」
■■■
諄ヰ音の一部の記憶を取り戻すことができた。
でも、きっと諄ヰ音は、
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